新Microsoft EdgeのPDF書き込みがイマイチなので代替品を探してみた
新Edgeがリリースされて半年以上たちましたが、PDF機能に関してはこれまでの使用感から一気に変わりすぎた感じがします。
特に学生にとっては、論文読み中のメモ書き込みとか授業聞きながらの資料へのメモとかに旧Edgeを重用していたのですが、機能変更によってこれらの作業が致命的にやりづらくなった印象です。
というわけで、特に上記目的での学生の利用という観点で、旧Edgeと似た使用感のものを探していたところ、Drawboard PDFがハチャメチャに使いやすかったので感動を記しておきます。
新しいMicrosoft Edgeの登場
去年あたりに、Windows用のWebブラウザだったMicrosoft Edgeがアップデートされました。
blogs.windows.com
どうやら、Google Chromeでも使われているChromiumエンジンというのをベースにして見た目も使い方もすっきりさせたみたいです。
特に、これまでWindowsのみだった対象OSをMacやAndroidでも使えるようにしたり、プライバシーを強化したりした模様。この辺りあまり詳しくないので、詳細な変更点については他*1をあたってください笑
新EdgeのPDF機能は思いのほか使いづらい…
ところがこの新Edge、PDF書き込みについては本当に使いづらくなってしまいました…。
旧Edgeにもあった機能の一部についてはまだ開発中のようで、すなわち然るべきアップデートが来るまではいくつかの機能が使えなくなっています。
その結果、特に論文や授業資料へのメモの書き込みを主な用途とする学生にとっては、まだ実装されていない機能が超重要だったりするので、なかなか以前のように便利には使えない…。といったところです。
公式は現在使用できない機能として、
目次、ページ レイアウト、読み上げ、テキスト メモ、蛍光ペンなどの PDF機能
(出所:https://support.microsoft.com/ja-jp/help/4537462/microsoft-edge-features-currently-not-available)
という説明をしています。
さまざまなPDF表示&書き込み機能が利用できず
- PDF表示機能
- 見出しが設定されているPDFの目次表示&ジャンプ機能
- ページレイアウト:全画面表示、スクロールオフ(左右のページめくり設定)、見開き表示設定
- 読み上げ:画面上バーに項目はあるもののどうやら実際には読み上げてくれない?*2
- PDF書込み機能
- ペン:後述
- 蛍光ペンによるハイライト ※200924追記: 機能復活してました。でも前とは少し使用感違うかも?
- テキストメモ:付箋書き込みと表示
この辺りの機能は、ペンによる書き込みを除いてはだいたいはAdobe Acrobat Readerとか使えば何とかなっちゃうようです。Acrobat Readerはただで簡単に入手できるので、そっち使えばいいと思います*3。
ただまあ、PDFに直接手書きでメモを取れた方が僕みたいな学生にとってはありがたいです*4。なので、手書きメモの使いやすさについての新Edgeの使用感について感じたことを書いてみます。
手書きが少しカクつく(かも)
そもそも、Edge上でのPDFへの書き込みが相当カクつくようになってしまった感じがします…。
たまたま旧Edgeでメモを取ってたIntroductory Data Scienceの授業メモに*5、同じメモを書いてみたのですが…
やっぱりちょっとザラザラっとした感じになってしまいます*6。大きめの字を書くときは特に…という感触。いずれにせよ書いたはずのものと違う見た目になると手書きの快適さががたっと落ちます。
パームリジェクションが効かなくなった
パームリジェクションとは、ペンを使って書き込みをしている間は自分の手での入力は書き込み入力として認識しない機能です。
例えば、ペンでメモを書き込みつつ、指で論文のページをスクロールする、みたいなことを可能にします。
旧Edgeではこの機能が使えていたのですが、新Edgeで急に無効になってしまいました…。
つまり、下のページにスクロールするときは、一旦手書きモードを解除→スクロール→手書きモードを再度有効に、という手順を踏む必要があります。
毎回の動作は2ステップ足すだけなのですが、論文などで頻繁にスクロールすることになるとさすがに面倒です…。
書き込んだ後の保存が上書き保存じゃなくなったっぽい
新旧Edgeともに右上に保存アイコンがあるんですが、旧EdgeはDL済みPDFに書き込みをした後保存アイコンをクリックすると自動で上書き保存されていたのが、新Edgeでは毎度名前を付けて保存のウインドウが出現します。書いては保存し書いては保存し…の繰り返しに都度ワンアクション加わるので若干効率が落ちますね…。
昔のものを使いたくても簡単には旧versionに戻せない
こんなかんじに妙に使いづらくなったEdgeですが、昔のものにダウングレードすれば使えるじゃん!と思って色々調べたところ、結構面倒そうです。
EdgeのアップグレードがWindowsアップデートにより強制アップグレードされた場合、旧Edgeはパソコンから削除され、新Edgeも簡単にはアンインストールできなくなっているようです。
正直面倒だったので諦めましたが、そもそも旧Edgeへのダウングレードは公式的には非推奨のようで…
docs.microsoft.com
通常の使用では、Microsoft Edge Legacy を新しいバージョンと同時に実行することはお勧めできません。 この構成は、ブラウザーバージョン両方のテストが必要な場合にのみ使用してください。
だそうです。いやまあ通常の使用なので…やめといた方が…いいんですかね?
というわけで代わりのソフトかアプリかを探す方に注力しました。
Drawboard PDFは代替品としてけっこう使いやすい
無料でつかえてPDF書き込みができるアプリ・ソフトはいくつかあります。iPad等のMac製品は使ってないので、今回はWindows向けのものを探したのですが、Drawboard PDFというのが超優秀でした!
www.microsoft.com
当然パームリジェクションも対応、保存はちょっとトリッキーですが上書き対応。蛍光ペンも使えます。
肝心の文字のカクツキは…
めっちゃきれい。最高。
ちなみに、DrawBoard PDF以外にも2つほど他のものを試してみたんですが、これがもっとも優秀な気がしました。
その時の比較検討はこの記事にまとめたのでご参考までに…。
scientia-socialis-f-discolor.hatenablog.com
メモ用の白紙ページの差し込みができる!
これもうれしい機能です。スライド使った授業でスライドにメモしていくときに、資料の余白では足りなくなってしまうことがあったりしますが、そういう時に簡単に1枚白紙を挟めます。
めちゃくちゃ便利です。なんなら旧Edge時代にもこれを実現するためにフリーソフト探し回ってました。
基本無料で使える!
どうやらこのアプリ、少し前までは1,000円くらいで購入するものだったようなんですが、今は無料で入手できます。拍手。
月額制の有料版(Drawboard PDF PRO:820円/月 or 6,900円/年)も用意されていて、いくつかの追加機能が使えます。
有料機能は
- ガイド
- 差し込み新規ページを方眼・罫線つきにできる・既存ページに方眼・罫線を重ねられる
- 高度なルール
- 文書の結合
- 文書のテキスト認識・検索?
- Surface Dial対応
- 色選択:カラーピッカーとラインスタイルのカスタマイズ ※無料版ではデフォルトの色しか使えない
が使えるようになるようです。ただ、学生の利用の範囲内であれば、無料版でだけでも使いきれないほどの機能があると思います。ペン色もデフォルトで40色あるし。
旧Edgeの使用感と揃えるための設定
最初からおおむね使用感が旧Edgeと同じ感じなのでほとんどカスタマイズが必要ないのですが、筆圧感知の設定をEdgeでのデフォルト設定に変えておくとさらに旧Edgeに使用感が近づきます。
この辺りは個人の使用感に合わせて設定を変えられるので、さらに自分の使いやすいスタイルにできるのも推しポイントですね。
他に使えるPDF系のフリーソフト
書き込みについてはDrawboard PDFで大満足です。また、有料版限定の機能やそもそも実装されていない機能も一部は他のフリーソフトと併用することで十分カバー可能です。
例えば複数文書の結合・ページ整理は、CubePDFというソフトが便利です。
www.cube-soft.jp
書き込み以外で頻繁に使う機能があれば、適宜併用するフリーソフトを調べれば、書き込みが絡むPDF作業は大体完結できるのではないかと。
まとめ
新Edgeに代わるPDF手書きメモツールを探していたら、Drawboard PDFに出会った話でした。Edgeがいずれ機能を追加するまでの間はこれで凌げそうです。とはいえもしかしたらもうEdgeでのメモ取りには戻れないかもしれないですが…。
資料や論文読みに適したソフトを探している方は是非参考にしてください。
*1:例えば:https://www.gizmodo.jp/2020/02/new-microsoft-edge.html
*2:あんまり使わないのでわかりません。以前の使用感とか知らない…
*3:とはいえ、特に付箋あたりの機能が急に見えなくなったので、Twitter上で一部学生の阿鼻叫喚が響いていました。
*4:そもそもこれに効用を感じたからSurfaceとかiPadとかの購入検討に至るわけで。
*5:Classification MethodのあたりだったのでBayes Classification Errorって書いてますが、よく調べたらこんなワードないんですよね笑 Bayes ClassifierとかBayes Error Rateあたりと間違えたんだろか。詳細はIntroduction to Statistical Learning 第4章あたりを参照。
*6:おいやめろ そもそも字が汚いという指摘はよせ