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取るに足らない勉強日記

【受験記】統計検定 統計調査士に30分の勉強でチャレンジ

だいぶ昔の話になりますが、2019年6月末にCBT方式の統計検定 統計調査士に合格した時の記録を残しておこうと思います。

統計検定「統計調査士」とは

統計検定は統計に関する知識・活用力に関する資格試験で、統計調査士はその中で実施されている試験の一つです。「統計検定○級」と同列に「統計調査士」があるという状態といえます。
内容としては、主に公的統計や調査に携わる上での基礎知識を認証する資格です。

統計調査士検定は、公的統計に関する基本的な知識を正確に認識し、公的統計を適切に利用する能力を評価する検定試験です。

(引用: 統計検定HP 「統計検定 統計調査士」

いわゆる「統計検定○級」とはかなり毛色が異なり、統計検定が統計学を対象としたものであるのに対し、統計調査士は統計調査そのものにフォーカスした試験といえます。

統計調査士の出題範囲

出題される内容は統計検定HP上の出題範囲表にまとめられています。

A.統計の基本
 1.統計の役割: 統計とは 統計の意義 統計と社会・経済
 2.統計法規: 統計法の基本的内容 統計法施行令等の内容
B.公的統計調査の業務
 1.統計調査の基本的知識: 調査の仕組み 調査実務の手法(調査企画の基本的事項) 統計の公表
 2.統計調査員の役割・業務: 調査員制度 調査員の業務
C.統計の見方と利用
 主要な公的統計とその見方・利用: 主要な統計 統計データの見方

出典:統計調査士 出題範囲表、大項目・中項目のみ抜粋

さらに細かく中身を見てみると、

  • A.統計の基本:公的統計にとどまらず、統計調査やその環境整備の大前提や有用性、また統計調査をする際に配慮が必要な秘密の概念などが含まれます。
  • B.公的統計調査の実務:国の調査を行うときの体制について、主に統計機構の概要、及び実務内容としての調査設計~実査~提供までの流れの他、実査の補佐をする「統計調査員」の実務の内容を具体的に問われます。
  • C.統計の見方と利用:主要な公的統計の内容について問われるほか、実際の公的統計の分析を行うにあたっての基礎的な分析手法として様々なグラフ・指標の読み方の習得を要求されます。

このような項目に分かれています。
こう見てみると、実は「統計検定○級」で問われる統計学の知識とオーバーラップするのは最後の統計データの見方に関する部分のみで、ほとんどはオリジナルで身につける必要がある知識となっています。

受験の経緯

ここからは、受験することに決めた理由から、受験までのスケジュールと勉強の方法、そして試験の結果について書きたいと思います。

受験動機

公的統計を使う研究を進めていることもあり、大学院を卒業したら公的統計に関する仕事ができないかと漠然と考えている時期だったこともあり、基礎知識を身につけた証明になるという意味で受験を検討しました。
また恥ずかしながら、前年度に少な目の勉強時間で統計検定2級に合格できた経験もあり、あまり時間をかけなくても済むのではないか?という甘い考えで申し込んだという背景もありました。

受験時の統計調査関連の知識・経験

学部基礎レベルの「統計学」の知識は一通り備えていました。実際、以前書いた通り、受験の約1年前には統計検定2級にも合格していました。

一方、範囲の大部分を占める公的統計調査については全く知識がなく、今回初めて基礎的な勉強をすることになりました。
一応、公的統計を用いた定量分析の経験もありましたが、その統計は出題範囲に含まれていませんでした。もし入っていてもあまり意味はなかったと思いますが…

受験スケジュール

CBT試験の予約をその時点の次の週末に入れたあとになってからすっかり多忙になり、結局勉強にまとまった時間を割くことができたのは当日の朝だけでした
そのため、結果としては通学途中の電車の中で資料を読む時間に加えて、午前中に受験予約を入れていたため、試験会場近くに移動してから試験開始までの間の30分のみが勉強時間として確保できたことになります。

勉強方法

統計調査士の範囲の大部分を占める公的統計に関する知識については、以下の資料を読みながら勉強をすすめました。

日本の公的統計・統計調査

日本の公的統計・統計調査

この資料は立教大学の社会情報教育研究センターが統計調査士対策のテキストとして独自に作成したもので、学内者に無料で配布しているものを一般向けに販売しているものです。
二つありますが、どちらか片方を使っても大丈夫だと思います。

この内容は、統計調査士対策テキストとして作られていることもあり、試験範囲に関しては網羅的に書かれているものと思われます。薄い本で持ち歩きにも便利なので移動中に読むことも簡単にできることもあり、手元に準備しておくといつでも少しずつ勉強を進められるのでよいと思います。

私が受験した2019年6月時点ではまだ出ていませんでしたが、2019年10月には最新版が発行されています。一部内容に変更がある可能性もあるので基本的にはこちらを手元に準備しておくことをお勧めします。

僕自身はこれらの本を1週間の間通学途中に少しずつ読んでいましたが、通読することはできず、知識が定着しないまま試験に挑むことになりました。
試験直前30分は通読していると間に合わないと悟った結果、昨年度の過去問を一通り解いてみましたが、勉強不足を自覚しただけで特に何の効果もなく、不安なまま試験室に入りました。

結果

受験後に渡された試験結果のシートはこういう感じのものです。

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統計調査士受験時の結果

この時の合格点7割を超える8割というのはいいとして、
下半分にはセクションごとの正答率が示されていますが、最後のセクション「統計の見方と利用」では満点を取れた一方で、それ以外は大きく点を落としたようです。

統計学の範疇ともなるグラフ・統計の読み方の知識については以前からついていたことで点を落とさずに済みましたが、その他の点については勉強不足が露呈した形です。

ただ、公的統計の実務や統計調査員についての知識はつけきれなかったのは勉強不足としても、正直「常識的に考えれば答えられるのでは?」と考えていた最初のセクション「統計の基本」について半分落としているという事実はかなりショッキングなものでした。

当たり前と思っている部分でも勉強しなおさないといけないのはもちろん、特に公的統計の実務の前提に対しては言うまでもなく厳密さが要求されます。兜の緒を締めて勉強しなおさないといけない、と意識を改めたきっかけになる受験となりました。

最後に

「統計調査」の基礎について問う試験でしたが、以前から持っていた「統計学」の知識と感覚だけで乗り切ってしまった感が否めません。正直、合格判定はもらったものの、合格した気はあまりしませんでした。今後も継続的に勉強しつつ、次は範囲のオーバーラップしている専門統計調査士に向けて勉強を勧めようと思った次第です。
正直前半の部分を勉強しないと、合格はしても受験をした意味がないと思いますので、受験を検討されている方はぜひ反面教師にしていただきたいと思います…。

また、この記事の内容はあくまで2019年6月に受験したCBT試験の受験経験をもとにしたものですので、その後の試験範囲のアップデートなどがあったとしたら、それらに対応しているわけではありませんので、悪しからず。