Courseraで無料の疫学コース修了してみた話
COVID-19で学生生活がハチャメチャになっていますが、おかげでOnlineの授業が無料公開され始めました。せっかくの機会にと思って気軽に1つ受講~修了してみたら案外面白かったので記事にしてみます。
Courseraで入門疫学のコースを修了してみました
表題のとおりですが、COVID-19の受講無料キャンペーンに乗じて、お試しで講義を修了まできちんと受講してみました。
COVID-19のあおりでpublic health関係の講義がまとめて無料になっていたんですが、僕はその中でも疫学入門を選択。いやあ、一度かじってみたかったんですよ。面白かったです。
履修したのはこちら。North Carolina大学Chapel Hill校が開講していた「Epidemiology: The Basic Science of Public Health」です。
www.coursera.org
4つのModuleに分かれていて、それぞれ1周ずつ、計4週で修了する想定だったらしいですが、動画見て問題を解いていく分にはそれ以上にスムーズに進んだ気がします。1本1本の動画も短くて、スキマ時間に少しずつ進めてみていました。
Moduleは以下の通りで、
となっていました。
感想
疫学史
実はこれまで、○○学史といわれるようなジャンルにほとほと興味を持ってこず…、main fieldに近いはずの経済学や統計学の議論すらまともに聞いてこなかった面があります(ケインズ・マルクスとか、頻度論VSベイズとか)。そんな僕でも、病気の性質の推移(疫病・伝染病→非感染性疾患→慢性疾患…)とそれに対応するように変化した疫学、という鮮やかな対応が直観的にわかるような説明で、かなり面白く聞いてしまいました。改めて教養として勉強しなおすのも面白いですね、こういうのは。
疫学指標
それなりの勘所はあったつもりなんですけど、それでも明確な定義はあまり知らないものですね。Odds Ratioとかめちゃくちゃ聞くけど、罹患率や有病率と何が違って、どういう情報をとらえた統計なのか…が少し明確になった気がします。
疫学研究のデザイン
個人的に経済学の文脈で実証研究デザインを学んできた(つもり)。そのバックグラウンドをもったうえでちゃんと疫学研究のデザインについて勉強すると、そのスタンスの違いが結構興味深いです。介入研究がエビデンスとして高い信頼性を持つ&倫理的にも(まあ少なくとも多くの経済学研究よりは)やりやすいし多く行われている、という面もあるのでしょうが、介入研究の中でもさらに細分化されていて、何を測るためにどのデザインを使うのか、という構造がかなり明確な印象を受けました。経済学の実証研究で医療アウトカムを使うことを考えるときにも、もっと慎重にならないとだめだな、って感じ。雑に死亡率とかを変数として放り込んでたなって(卒論の反省)*1
オンライン受講してみて
面白い講義でした。今後の医療関係の統計を見るときのために頭の片隅においておける程度の分量だったのが良かった。
動画でのインプットだと、どうしても大きな分量の学習内容を定着させ切るのは厳しいかもな、と思ったり。なので、今回みたいに興味はあってかじってみたいから動画で話聞かせてくれ、みたいなテンションのトピックにはこの形式の学習が向いていそうです。
他にも無料で受講できる科目はある
結構スムーズに学習が進んだので、味をしめて他の科目も受講してみたくなりました。
現時点では、この2つの経路で完全無料受講できるようです。
- 誰でも対象:Coursera Together キャンペーン
- 学生対象:Free Coursera for University Students
Coursera togetherキャンペーン
Courseraは、COVID-19の影響を受けた人々にとって有益な機能をいくつも提供しており、感染症流行から新しく開始したものも含めたそれらの機能を「Coursera Together キャンペーン」として展開しています。
blog.coursera.org
その中で最も注目されるのがFree Courseで、COVID-19に関連していそうな(?)トピックに関する一部コースを無料提供しています。ジャンルは今回受講した疫学が含まれる公衆衛生のほかに、リモートワーク関連かなって感じのクラウドテクノロジー分野、この機に転職を考える人向け?のキャリア開発の分野、元気に生きていこうね…!な意味でのメンタルヘルス・Well-being分野などがありました。その他のジャンルもいくつか含まれているので、上のリンクから探すといろいろ見つかります。
12月31日までに申し込めば、申し込み後150日以内に修了することで修了証がもらえます。以前は7月31日まででしたが、延長されたのでチャンスが広がりました。
Free Coursera for University Students
「COVID-19の影響を受けた大学の学生」を対象に、3000以上のコース・専門講座を無料で受講可能にするプログラムです。いやそれ、ほぼすべての大学・短大は対象だよね。まだ対象じゃない場合は大学に掛け合ってね!とのこと。
実は弊学もちゃっかりこの流れに対応していてくれたので、晴れて無料で選べる科目の幅がめちゃめちゃ広がりました。この調子でHealth InformaticsとかHealth Innovationあたりの科目を夏の間につまみ食いしていきたいですね。
P.S. 修論執筆中にスキマ時間なんてあるんですかね。ないか。
*1:そもそもそれは経済学のLiteratureになるの?というツッコミは脇に置きます