Sitting in an Armchair

取るに足らない勉強日記

HTA (医療技術評価) の本まとめ

色々な機会があって少しだけHTAについて学ぶ機会があり、いろいろな本の情報を得たので、諸方面からの情報をまとめておきます。

HTA関連本のカテゴライズ

色々な本があるのですが、大きく分けると「動向」「実務」の2つに分けられるような気がします*1

要は、昨今のHTAに関する政策の傾向や利用される文脈についての理解と、実際にどのようなことが行われるのかの解説といったところです。当然両方の理解が欲しいところですが、

  • なんだか最近話題のHTAってなんだ?レベルのことが知りたい人→両カテゴリの概論レベルの本
  • 政策応用を深く知りたい人→加えてHTAの実際の計算についても概論レベルを把握
  • 実務を詳しく知りたい・できるようになりたい人→加えて政策や利用される文脈についての概略を把握

が良いのかなあと感じました。どちらにしても片手落ちだと後々大変そうな印象です。

読むと良さそうな本の例

政策等動向

概論というほど網羅的かどうかはわかりませんが、以下の本は良書だと思います。

新医療経済学

新医療経済学

 

HTAそのものの解説は第3章にまとまっていますが、全体を通して医療経済におけるエビデンス全般に触れており、その中でのHTAの位置づけの整理という意味でも読む意義を感じました。価格・文体双方の読みやすさもあります。

政策周りに特化した本としては以下の本もあるようです。

医療技術の経済評価と公共政策―海外の事例と日本の針路

医療技術の経済評価と公共政策―海外の事例と日本の針路

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: じほう
  • 発売日: 2013/04/30
  • メディア: 単行本
 

 

実務

HTAのキモは増分費用効果比(Incremental Cost-Effectiveness Ratio: ICER)を算出するところで、その過程のテクニカルな部分をマスターした人が実務についているのだろうと想像しています。「HTAはICERを算出する学問だ」とまで仰る方もいるくらいです。

算出にあたってのステップを演習付きで概説している本として、以下の2冊はレベルが高すぎず良さそうでした*2

「薬剤経済」わかりません! !

「薬剤経済」わかりません! !

 
医療技術評価ワークブック ―臨床・政策・ビジネスへの応用

医療技術評価ワークブック ―臨床・政策・ビジネスへの応用

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: じほう
  • 発売日: 2016/07/01
  • メディア: 単行本
 

専門でHTAを、ということであれば教科書は以下のものがあるそうです。和訳はかなり古い*3

保健医療の経済的評価―その方法と適用

保健医療の経済的評価―その方法と適用

 

*1:綺麗に二分できるワードでないことは承知しています。上手い対義語のセットが思いつきませんでした

*2:精読はまだしていません。

*3:最新4版に対して邦訳は2版のものです